ロシア人と福島県。そして日本人としての葛藤

現在外国人の間で日本車、特に日本のスポーツカーは人気があってGT-Rなどの一部は神様的扱いをされている程。規制などの関係でアメリカなどでは希少車でしたからね。ワイルドスピードなんかの映画の影響が大きいのだと思います。現行のGT-Rも向こうでは「ゴジラ」と呼ばれ大人気。頭文字Dも有名でクルマ好きの外国人にはそのまま「ハチロク」で通用したり、ドリフトも流行っているんです。

そんな彼等の間で聖地と呼ばれているのが福島県二本松市にある「エビスサーキット」。世界的にも珍しいドリフト走行に特化したサーキットで、世界中からドリフト好きが集まる観光地になっています。福島県といえば東日本大地震で原子力発電所に事故が起きた場所。震災直後は福島県から外国人が消えたなんて話も聞きました。福島県どころか日本からいなくなった外国人も沢山いたはず。にも関わらず震災後も沢山の外国人が再度訪れてくれていると知ったらなんだか嬉しい気持ちになったりもします。

その一方でロシア人やウクライナ人の中には未だに「福島嫌忌」のようなものがあると感じています。これには背景にチェルノブイリの原発事故があるためで、大震災直後に福島の原発のニュースがロシアなどで真偽の程はともかく大々的に報じられました。日本にいる息子や娘に「早くロシアへ帰りなさい。」とロシアで心配している親からの電話。親の言う通り帰国したロシア人を何人か知っています。ロシアンパブも閑散としました。日本に残ったり、しばらくして再び来日したロシア人やウクライナ人の中にも福島県に行きたくないという人達もいます。残念ながら現在の僕の彼女も同じです。

以前お付き合いしていた女性はロシア人の女友達と一緒に住んでいたのですが、彼女とスーパーへ買い物に行った際に「トモダチガフクシマノモノタベレナイカラ、フクシマノモノカワナイ。」と言われたことがあります。その時、僕は怒りと悲しみが混じった変な気持ちになったことを覚えています。「スーパーでは産地書いてあるけど、レストランじゃ気にしないだろ?それだと日本でご飯食べれないじゃん。」と言うことしかできませんでした。

彼女達が放射能という言葉に敏感なのは先述の通りチェルノブイリの事故のせい。事故当時ソ連の政府は事故を公表しなかったため避難ができなかった沢山の人達が被曝したといいます。東日本大震災のことも日本とロシアではニュースに大きなギャップがあったことは容易に想像でき、ロシアの人達が日本では真実が報道されていないと思うのも無理ありません。世界で最大級の原発事故の影響を受けた国の人達ですから福島嫌忌というか正確には「原発嫌忌」でも仕方がないことなのかなとも思います。誰が悪いということでもないからです。

もしこのブログを福島の方が目にしていたら不快に思われるかもしれません。本当に申し訳ございません。ただそれだけでロシア人やウクライナ人を嫌いにはならないで欲しいということと、全てのロシア人やウクライナ人が福島に対して同じように思っているわけではないということも書いておきます。調べてみると2015年の時点でも福島に在日ロシア人が約40人程いるとのこと。人口1万人比でいうと47都道府県で30番目なのだそうです。

僕も勉強不足だし何が真実なのかはわかりませんが、ロシア人女性やウクライナ人女性と接することがある身として色々考えさせられました。ロシア人やウクライナ人とお付き合いしているとこういった事とも向き合わなければいけなかったりもするのです。僕は何度も福島へは行っていますし良い所なのは知っています。いつか彼女と一緒に行けるようになればなぁと思います。

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